無糖バニラ
あたしは、ふたりに助けられているだけ。

ちゃんと、自分の口から話さなきゃ。
伝えなきゃ。


「嘘ついてて、ごめん。あたしも、翼のことが好きなの。……ずっと前から」


教室中の注目の的になっていることや、あたしに直接言われたことでカッとなったのか、彼女は大きく手を振り上げた。


あ、殴られる。

一瞬の内にそう思ったけど、避ける気はなかった。


こんなの、翼に無視され続けたことに比べたら、痛くない。

こんなことくらいで、気が晴れるのなら。

翼を好きな気持ちなら、あたしだってよく分かるから。
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