プリズム!
(全部、俺のせいだな…)

今朝会った時の綺麗な笑顔が、今涙に濡れているのかと思うと雅耶は胸が締め付けられる思いがした。


楽しみにしていると言っていた学園祭。

でも、不安も沢山あると言っていた。

それを分かっていたのに…。


「…ごめんな?俺、急な仕事が入ったとは言え、お前との約束破る形になっちゃって…。でも、お前を一人にするつもりなんてなかったんだ。ホントごめん」

一般公開されていない棟の、人気(ひとけ)のない廊下に雅耶の声だけが響き渡る。

『…謝らなくて良い…。そんなの仕方ないでしょう?そんなことで、怒ったりしない』

「でも…じゃあ、何で泣いてるんだ…?」

すると、電話の向こうで夏樹が息を呑むのが分かる。

『……っ…。泣いて…なんか…』

「俺が気付かないとでも思ってるのか?」

『………』


ふと、裏庭を見渡せる廊下の窓から外を眺めてみると、他に人気のないその場所に一人の少女が花壇に腰掛けて俯いているのが見えた。

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