プリズム!
だが…。
『ダメ、だよ…。来ないで…』
思いも寄らない言葉が返って来て、再び雅耶は足を止めた。
「…何でだよ、夏樹…?」
その一言に思いのほかショックを受けていた雅耶だったが、再び思い直すと、ゆっくり歩き出す。
すると、再び夏樹の声が聞こえて来た。
『…何も、あるワケないでしょ?…気にしすぎだよ…』
先程よりは、幾分か明るく元気そうな声色だった。
(でも、無理してるのミエミエなんだよ…)
だが、夏樹は平静を装って話を続ける。
『ただ…懐かしさに浸って静かなトコに移動しただけなんだ。その内戻るよ。だから…気にしないで…』
語尾が小さくなっていく。
「まぁ…何もないなら、それが一番なんだけどさ。でも、それなら…せめて今何処にいるか位は教えてくれてもいいだろ?」
『………』
「…夏樹?」
僅かな時間ではあるが、無言の状態が続く。
そして、再び電話の向こうから聞こえてきた夏樹の声は、小さく掠れて震えていた。
『ごめん…。少し…一人にしておいて…』
「…夏樹…」
今にも泣きそうな声だった。
いや、もう既に泣いているのかも知れない。
何があったのかは分からない。
実際、何もなかったのかも知れない。
でも今、夏樹の気持ちが沈んでいることだけは判る。
『ダメ、だよ…。来ないで…』
思いも寄らない言葉が返って来て、再び雅耶は足を止めた。
「…何でだよ、夏樹…?」
その一言に思いのほかショックを受けていた雅耶だったが、再び思い直すと、ゆっくり歩き出す。
すると、再び夏樹の声が聞こえて来た。
『…何も、あるワケないでしょ?…気にしすぎだよ…』
先程よりは、幾分か明るく元気そうな声色だった。
(でも、無理してるのミエミエなんだよ…)
だが、夏樹は平静を装って話を続ける。
『ただ…懐かしさに浸って静かなトコに移動しただけなんだ。その内戻るよ。だから…気にしないで…』
語尾が小さくなっていく。
「まぁ…何もないなら、それが一番なんだけどさ。でも、それなら…せめて今何処にいるか位は教えてくれてもいいだろ?」
『………』
「…夏樹?」
僅かな時間ではあるが、無言の状態が続く。
そして、再び電話の向こうから聞こえてきた夏樹の声は、小さく掠れて震えていた。
『ごめん…。少し…一人にしておいて…』
「…夏樹…」
今にも泣きそうな声だった。
いや、もう既に泣いているのかも知れない。
何があったのかは分からない。
実際、何もなかったのかも知れない。
でも今、夏樹の気持ちが沈んでいることだけは判る。