プリズム!
「…確かに俺は、君をついこの前まで『冬樹くん』と認識していた分、まだ『夏樹ちゃん』と呼ぶのでさえ慣れていないというのが正直なところだが…。前にも言ったが、君は君だ。それに、今の君は何処から見たって女の子だし。もっと自信を持って良いと思う」

「…仁志さん…」

直純が横で、うんうん頷いている。

「だが、それでも現状でいまいち自信が持てないと言うのなら、俺から一つ提案がある」

「…提案、ですか?」

「ん…?」

何を言うつもりだ?…と、直純は不思議そうに仁志を見た。

「君のその制服姿を見て、今日ずっと考えていたんだが…」

顎に手を当てて、夏樹をじっ…と見つめながら話す仁志に。

「……?…」

夏樹は首を傾げた。

「やはり服装というのは大事だ。形から入る…というのも実際有りだと思うしな。…そんな訳で、この店の教育係としては、折角可愛い女の子がバイトにいることだし、この店のユニフォームも女の子バージョンを用意するのも有りだと思うのだが…。どうだ?マスター?」


「「…え…?」」


真面目な顔をして、そんなことを言ってくる仁志に。

直純も夏樹も一瞬目を丸くして固まっていた。

だが、次の瞬間。

「はははっ!いいな、それっ」

直純が笑って賛同した。

「そうだよな?折角可愛い女の子がいるんだもんなッ!どうせならとことん女の子らしいヒラヒラの…」

「丈は勿論ミニだな…」

…等、すっかり悪ノリ気味の二人に。


「そ…それだけは、勘弁して下さい…」

思わず頭を抱え込む夏樹に、二人は顔を見合わせて笑うのだった。

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