夏を殺したクラムボン



「連絡……つってもそんなにないんだけどな。今日と明日はどのクラブも部活無し。夏休みで3年は引退するから、ちゃんと挨拶しとけよー。あ、あと2限目は俺だから」



理科の授業の準備していると、となりから周の机に丸い紙の球が投げられた。それはノートの切れ端のようだった。成海に目をやるが、彼は再び机に伏せ、規則的に肩を上下させる。



切れ端を開けば、そこには几帳面な成海の字が並んでいた。



【1限目が終わったら
 東階段の前】



周はノートの切れ端を筆箱の中に入れ、1限目の終了を告げるチャイムを待つ。



授業中、周はクラスメイトたちの会話に注意深く聞き耳を立てていた。



教卓で教科書を読む理科教師の目を盗み、さまざまな言葉が教室に入り乱れている。



「でもさ……葉月、7月1日?くらいに、猫を殺してたって誰か言ってなかったっけ」

「あー……雨の?言ってた気がする。見間違いとかかなー……でも成海と見間違える?」

「俺、その日、部活が終わって浜田と成海が帰ってるの見たぜ」

「じゃあやっぱり葉月さんも?」



黒板の細かい文字を写し終えた周は指先で白いシャープペンシルを回し、あの雨の日のことを想起した。



……雨で、ほとんどの血が流れていた。










あの子を殺したのは、誰?










< 88 / 116 >

この作品をシェア

pagetop