猫になりたい少女のお話
走っても誰も見当たりません。
……そうだ!
「にゃーん!!」
あの猫を呼べば良いのです。
さっきカラスに襲われそうになった時助けてくれたんですから、
きっと今だっておばあさんを助けてくれるはず。
小さな希望を見つけ少女は叫びます。
が。
「にゃー!!」
あの猫は一向に現れません。
少女は鳴いて鳴いて鳴きまくりますが誰も反応なし。
再び少女は走り出しました。
すると道の向こうから誰かの影が見えてきます。
近づくとそれは夜でも金色に輝く髪が目立つ不良たちでしたが、
少女は怖さを忘れにゃんにゃん鳴きました。
「うわ!
何だよこの猫…邪魔だな」
「別の道行こうぜー」
不良たちの前で少女は鳴きましたが、
嫌そうな顔をして回れ右をしそうになります。
このまま真っ直ぐ行けばおばあさんがいるのに。
「にゃんにゃん!!」
少女は一生懸命、より一層激しく鳴きました。