ズボラ女が恋する瞬間
__ガチャッ__


部屋の中に入り、自然と零れるため息。

真っ直ぐ冷蔵庫へと向かい、冷えた缶ビールに手を伸ばす。


__プシュッ__


ゴクゴクッと喉を鳴らしながら、ビールを体へと流し込む。

残業のせいで、夕ご飯も食べていない。

すきっ腹に、ビール。

決して酒が弱いわけではないが、今の状況には調度良い酔いだ。

ほろ酔い気分で、先ほどポストから持ってきた郵便に目を通す。


「もう、更新の年か」


一通の手紙を片手に、頭を抱える。

彼が居なくなってから、3度目のマンションの更新。

どうしたものか。


『俺、転勤になった』


あたしが大学4年の時、彼から突然言われた言葉。

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