ズボラ女が恋する瞬間
『ホントは、ついて来てほしい』


あたしだって、一緒に行きたかった。

でも大学4年のあたしには、出来なかった。

彼も会社の命令に背くなんてこと、出来ない。

だから、安易に想像はできた。

そうして選んだ答えは、遠距離恋愛の道。


『俺らなら、大丈夫だよ』


今思えば、自分たちに言い聞かせるような言葉だった。

心が離れなきゃ、大丈夫。

離れたのは、距離だけだ。

遠距離恋愛して、結婚した人たちだっている。

大丈夫、大丈夫、大丈夫。


『待ってるから』

『おう。待ってて』


その約束から、あたしたちの関係が壊れたのはあっという間だった。

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