ズボラ女が恋する瞬間
「ごめんなさい」

「・・・あかり」


行き場を無くした彼の手は、あたしに触れることはなかった。


「近いうち、あの部屋を出る」

「・・・そうか」

「今まで、ごめんなさい。それと、ありがとう。どうか幸せに」


立ち上がるあたしのことを、彼が引き止める。


「あかり。最後に笑ってくれないか?」


彼の最期の頼みに、ちゃんと答えられたかわからない。

だけど、精一杯の笑顔を向けた。


「好きだった。本当に愛してた。でも、あかりの笑顔を奪ってたのは・・・他でもない、俺だったんだな」


そう言い、頬を撫でる彼の手が震えていた。


「ごめんな、あかり」


彼の言葉に、あたしは首を横に振る。

そして、さよなら。と、あたしは別れを告げた。

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