ズボラ女が恋する瞬間
自然と、彼の顔が浮ぶ。

それが、とても切なくて哀しい。

もう5年も経つと言うのに・・・

自然と零れたため息が、胸を締め付ける。


「仕事中」


独り言のように、自分に言い聞かせ、あたしは出来た書類をまとめた。

そして、三浦の居る部署へと向かった。

0時を回ろうとしている社内は、とても静かだ。

それが、とても薄気味悪く感じる。

あたし、暗いところ嫌いなんだよな。

何度残業しても慣れない雰囲気に、泣きそうになる。

サッサッと、書類を三浦のデスクに置き、足早に社内を出ようとした。


「おい」


今、声した?

嘘、でしょ?

恐怖心が煽られ、あたしは足を速めた。

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