ズボラ女が恋する瞬間

「元後言えば、三浦さんのせいで残業になったんだから、送ってもらうくらいどうってことないですもんね」


あたしは三浦の背中に向かって、嫌みたっぷりな言葉をぶつけてやった。

会社の駐車場に着き、慣れた手つきで車のキーを開ける。

運転席に乗り込んだ三浦に続き、あたしは後ろの席へと乗り込む。


「普通、助手席に乗るだろう」

「助手席に乗って、知らない女から変な妬みとか買いたくないんで」

「なんだそれ」

「三浦さん、素行の悪いから」


三浦の女癖の悪さは、社内でも有名な話。

会社の女の子なら、みんな知ってる話だ。

なのに、三浦の周りに女の子が絶えない。

自分のモノにならないとわかって居て、三浦の隣に居る女の子たちの気持ちがわからない。