冷徹社長が溺愛キス!?
彼女は、入社以来ずっと総務部勤務。
これまで二度の育休後も、同じポジションに戻ってきている。
つまり、総務部にとって有能な人材というわけだ。
これが私だったら、きっとあっけなく新しい人を投入されているだろう。
私ももっと頑張らないと。
ひっそりとひとり、小さく奮起したところで「そこでですね」と部長が先を続ける。
「園田さんの業務をひとまず雨宮さんに引き継いでいただきたいんです」
「はい。……って、はい!?」
気安く頷いたあとに、部長の言葉を反芻して驚いた。
園田さんの業務を、この私が……?
「む、無理です!」
だって、彼女の業務といえば、総務部の中でも重要案件のひとつである株式絡みがほとんど。
会議室の予約だとか、法規やマニュアルの差し替え、社内の備品の受発注が主の私の職務。
それがいきなり株式関係の仕事だなんて、とてもじゃないけどできない。
しかも、あと一ヶ月しか猶予がないなんて。
「雨宮さんも、どんどん新たな仕事にチャレンジしたほうがいいです。今の職務内容なら、株式関係の業務を追加しても、さほど負担にはならないでしょう。株式以外の園田さんの仕事はほかの方に振るとして、一番重要なものを雨宮さん、お願いします」