冷徹社長が溺愛キス!?

確かに、毎日忙しくしているわけではない。
正直言って、暇を持て余して欠伸をかみ殺している時間もなきにしもあらず。


「ですが……」

「みんなにフォローしてもらいながら、頑張ってみましょう」


部長は断らせるつもりはないようだ。


「雨宮さん、あなたなら大丈夫」


園田さんまで、部長に加勢だ。
根拠のない“大丈夫”に私は不安でいっぱいになる。


「確かに、雨宮さんは仕事のペースが少し遅いようですが」


部長が微笑みを浮かべる。

私がとろいのは、誰の目から見ても明らからしい。
耳がとても痛い。


「丁寧さは、ほかの誰にも引けをとりません」

「……はい?」


部長が続けたひとことが、私の耳の神経を引きつける。

今、『ほかの誰にも引けをとらない』って言ったの?
私に、そんなものがあるの……?

耳を疑う言葉だった。
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