冷徹社長が溺愛キス!?
「仕事は早いに越したことはありませんが、それでミスがあっては元も子もありません。特に、株式総会などを運営する場合、ミスは命取りにもなりかねないのです。ですから、雨宮さんのその丁寧さがとても重要となります」
いつも動きの鈍さを指摘されてばかりだっただけに、丁寧だと誉められたことが信じられなかった。
でも、すごく嬉しい。
そう言ってもらえたのは初めてだった。
「……私でよろしいんでしょうか?」
「雨宮さんが適任者だと思います」
きっぱりと言われて、小さな自信が心に宿る。
「私も残りの一ヶ月で、全てのことを教えるから」
園田さんの頼もしい言葉に、『やってみよう』という気持ちが今はっきりと芽生えた。
「では、やらせていただきます。園田さん、よろしくお願いします」
頭を深く下げ、ふたりに続いて応接室を出たのだった。