冷徹社長が溺愛キス!?
◇◇◇
そして迎えたお昼休み。
普段から休憩室の窓辺のテーブルは人気が高く、私たちが来る頃には埋まっていることが多いのに、今日は運よくひとつだけ空いていて、麻里ちゃんと私はそこにお弁当を広げた。
「部長の呼び出しって何だったの?」
麻里ちゃんは、いつものように私の分のホットココアと彼女のホットコーヒーをテーブルに置き、お弁当のふたを開けた。
「園田さんが産休に入ったら、仕事を引き継ぐようにって」
「それじゃ、人員補充をしないで園田さんの復帰を待つってことか」
「そうみたい。ただね、復帰後は別の職務をするんだって」
さっき応接室を出たあとにチラッと園田さんが言っていたことには、総務部の事務関連職務を束ねる役割を任されるとか。
総務部の女子事務員は、麻里ちゃんと私を含めて六名。
役職が付くかどうかはまだはっきりとしていないが、そのトップということらしい。
さすがは園田さんだ。
後任人事が遅れたのは、三人の子育てをしながらやれるかどうか、園田さんが悩んでいたからだそうだ。
「奈知の責任が重くなるね」