冷徹社長が溺愛キス!?

「ここ座りますが、いいですよね?」


上から目線のセリフが聞こえたかと思えば、加藤くんがお弁当バッグを持って私たちを見下ろしていた。
今日も手作りお弁当持参だ。

そして、今日は麻里ちゃんの隣に座る。
この前のお弁当の素晴らしさから、ふたが開けられるのをつい興味津々で見てしまう。


「なんなんですか、雨宮さん。ほしいと言われてもあげませんからね」

「ううん。おすそ分けは大丈夫だけど、今日はどんなお弁当なのかなーって」

「ふんっ」


加藤くんは鼻をひと鳴らしして、別段もったいぶるわけでもなく、ふたを開けた。


「……わぁ!」


今回のお弁当も、やっぱりすごい。
煮物に肉巻きに玉子焼きと、前回同様にカラフルだ。
カラフルな生野菜は別の入れ物から出てきた。


「ねぇ、今日も自分で作ったの?」

「個人的な質問にはお答えできかねます」


メガネの奥の瞳をピカーンと光らせる。
彼女はいないと言っていたし、自分で作ったのならそう言えばいいのに。
なにをもったいぶっているんだろう。

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