冷徹社長が溺愛キス!?
すぐにカコンと音を立ててカップが下りてくる。
抽出される、ほんの数十秒がやたらと長いのは、すぐうしろで社長が仁王立ちになっているからだ。
社長も自販機目当てだと分かっていれば、先にやってもらったのに。
赤い点滅が消えたのを確認して、そそくさとカップを取り出す。
「お待たせしました。どうぞ……」
自販機の前を社長に譲った。
すぐそばにあった椅子に腰を下ろし、なんとはなしに彼を眺める。
足、長いんだなぁ……。
左手をポケットに入れて立つ姿を見て、スタイルの良さに改めて気づかされた。
もしかして八頭身? ……ううん、九頭身かなぁ。
親指と人差し指で社長の体を『いーち、にー、さーん……』と測りながら、カップに口をつけた。
「――あれ!?」
その途端、思わずカップを口から離して声を上げる。
これ、ココアじゃない。
コーヒーだ。しかもアイスコーヒー。
嘘、どうして……?
いつもと同じボタンを押したのに。
立ち上がって自販機を見ると、お昼とは配置がまったく変わっていた。
夏が近いせいか、ホット系は一番下の列だけにリニューアルでもされたみたいだ。