冷徹社長が溺愛キス!?
社長は、五メートルほど先に停車中のタクシーを指差した。
「ううん、車より電車のほうが早いから」
三木専務は肩ごしに振り返って、ヒラリと手を振る。
“お疲れ様でした”の意味を込めて、私は頭を下げた。
彼女の背中はどんどん小さくなっていき、そのうち路地の向こうへと消えて行った。
私も帰ろう。
「お先に失礼します」
腰を低くして社長の前を通り過ぎる。
すると、数歩進んだところで「おい、待て」と社長が私を呼び止めた。
「……何でしょうか」
足を止めて振り返る。
「送ってやる」
「いえ!」
社長に送ってもらうなんて、とんでもない!
「どうせ通り道だ。乗れ」
「いえっ、本当に大丈夫ですから」