冷徹社長が溺愛キス!?
「“アキレス”だ」
「あっ、そうでしたよね」
「本当に思い出したのかどうか怪しいな」
「――ほんとに思い出したんです」
おバカの烙印を押されそうになったので、ついムキになる。
社長はからかうような目つきで私を見ていた。
何を言っても、無駄に思える目だ。
もっと言い返そうと思ったけれど、そこで止めておいた。
“す”で始まって、“き”を入れるんだから……うーん……何があるかな……。
あれこれと考えてみるものの、すぐに思いつくわけでもなく。
そうこうしているうちに、窓の外が見慣れた景色に変わっていた。
そして、ハザードランプを点滅させながら、タクシーが私のアパートの前で止まる。
「こりゃ、答えは一生出てこない可能性ありだな」
「……すみません」
バッグの中に手を入れてアパートのカギを探していると、「おい、降りないのか」と、後部座席の左側に乗っていたため先に降りた社長がドアから顔を覗かせた。
「――降ります」
手をバッグに突っ込みながら焦ってタクシーを降りる。