冷徹社長が溺愛キス!?

思わず窓辺に掛け寄って、外を眺める。
景色をひとり占めしているみたいだった。


「綺麗ですね」


振り返ると、社長は手にしていたジャケットをソファに置き、ネクタイを緩めていた。


「もう見慣れた」


こんな景色を見慣れることなんてあるんだ……。

そして、振り返ったところで改めてこの部屋のすごさを思い知る。
白い壁を基調とした室内は、対照的に黒い家具で統一されていて、リビングにはドーンと黒いレザーソファーが鎮座していた。
モノトーンの落ち着いた部屋だ。

何よりも驚いたのは、今私が立っている窓だった。
直線ではなく、大きく楕円を描いているのだ。
天井が高い部屋だから、その窓の大きさも半端ない。
泊まったことはないけれど、一流ホテルにも引けをとらないように感じた。

溜息しか出てこない。
これが、人生の成功者の部屋なのだ。

その場で茫然と立ち尽くしていると、社長は『座れ』とソファを指差した。
その言葉に従い、腰を下ろす。
張りのあるレザーは座り心地がよかった。


「しまった。どこかで何か食ってくればよかったな」


ボソッと彼が呟く。

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