冷徹社長が溺愛キス!?

社長の唇が、私の唇に触れている。
――キスされているのだ。

開いたままの私の目のすぐ前には、目を閉じた社長の顔があった。
至近距離なんてものじゃない。
瞬きをしたら、まつ毛が触れ合うほどだった。

そこでようやく状況を呑み込めた私は、社長の胸を手で押しやった。
ところが、それくらいではビクともしない。
ラグビーで鍛えあげた厚い胸板と、筋肉が隆起していそうな腕に太刀打ちできるはずがないのだ。

社長の右手によってガッチリと押さえつけられた私の頭。
左腕で捕捉された私の腰。
どうあがいても、逃げ出せるような状況ではなかった。

かろうじて顔を反らしても、すぐに社長の唇が追いかけてくる。
逃げられないように押さえ込む力とは対照的に、優しいタッチのキスが続く。

そうされているうちに、力いっぱい閉じていた唇は抵抗する意思を失ってしまった。
隙間から舌が侵入した途端、息継ぎすらままならなくなる。
矢継ぎ早に重ねられるキスが、次第に私の脳内を麻痺させていく。
何も考えられない。

ただひとつ分かったことは、社長にそんなことをされても嫌だと思わない自分がいることだった。
いつの間にか、無我夢中でそれに応えようとしていた。

どれくらいそうしていただろう。
キスがペースダウンするように軽いものに変わっていくと、ようやく私の唇が解放された。

< 160 / 272 >

この作品をシェア

pagetop