冷徹社長が溺愛キス!?
山登りを苦手とする麻里ちゃんは、顔を曇らせていた。
私も得意なほうではないけれど、この時期はいろんな花を観察できる楽しみもあって、彼女ほど沈んだ気分にならずに済んでいる。
「仮病で休もうかな」
「えー! そんなこと言わずに、一緒に行こうよ。麻里ちゃんがいないとつまらない」
「とかいって、毎年花に夢中になって私どころじゃないくせに」
鋭い指摘をされてしまった。
確かに彼女の言うとおり、歩きながら花の写真を撮ることに手一杯なのだけど。
今回は気をつけよう。
「ここ、座ってもいいですか?」
上から降ってきた声に麻里ちゃんと揃って顔を上げると、加藤くんだった。
その手には、お弁当らしき小さなバッグを持っていた。
「どうぞ」
向かい合って座る麻里ちゃんと私の隣がそれぞれひとつずつ空いていて、彼は私の隣へと腰を下ろした。
「お弁当なんて珍しいね」
バッグからお弁当箱を取り出す加藤くんを、麻里ちゃんが物珍しそうに眺める。