冷徹社長が溺愛キス!?

本当にそのとおりだ。
加藤くんが、ここで食べているのを見かけた記憶はない。


「彼女にでも作ってもらったの?」

「彼女はいません」


麻里ちゃんの質問に加藤くんが即答する。


「それじゃ、自分で作ったの?」


確か、実家は東北だったと思う。
ご両親とは一緒に住んでいないはずだ。


「ご想像にお任せします」


淡々と答えながら加藤くんが開けたお弁当の中身を見て、私たちは思わず感嘆の溜息を漏らした。


「加藤くん、すごーい」


ふたり揃って目を見張る。
黄色に赤に緑、色彩バランスはもちろんのこと、主菜・副菜と栄養バランスも考えられた献立がきれいに詰められていたのだ。

彼の料理の腕前は相当なものらしい。
思わず自分のお弁当を隠したくなってしまう。


「ところで、雨宮さん」


いつまでも感心しきっていると、加藤くんはいつものようにメガネのふちを指先で持ち上げて私のほうへ九十度首を捻った。
なんだかロボットみたいだ。

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