冷徹社長が溺愛キス!?
「ひとりで抱えていたって埒が明かないよ。誰かに話すだけで違うから」
優しい目で見つめられて、閉ざしていた心に小さな風穴が開く。
そしてその穴は、ひとたび風が入り込むと途端に大きな穴になっていく。
今まで抑えてきたいろんな思いが、そこから溢れ出てくる。
「麻里ちゃん、実は……」
今まで社長と私の間にあったことすべてを彼女に白状してしまった。
山小屋で一夜を共にしたこと、社長のマンションに泊めてもらったこと、そういった基本情報はすでに知っていた彼女だが、一番の重要事項である“キス”のところでは、「え!?」と言ったきりフリーズしてしまった。
そして今日、三木専務とふたりでジュエリーショップへ入って行ったところを目撃したという話の終盤で、やっと意識を取り戻したようだった。
「罪つくりだね。彼女がいながら奈知にキスするなんて」
麻里ちゃんの言い方には、ちょっとした怒りが込められていた。
「奈知はなにも悪くない。あんな容姿してるんだもん。いろんなシーンで助けられた上、キスなんてされたら、好きにならないほうがおかしいよ」