冷徹社長が溺愛キス!?
「会うことにする」
『えっ?』
電話の向こうでお母さんが素っ頓狂な声を上げる。
「お見合いする」
私がきっぱりと答えると、麻里ちゃんは目を丸く見開いた。
先の見えている恋は、早いところ忘れたほうがいいに違いない。
お見合い相手を気に入るかどうかは別にして、社長を忘れるいいきっかけになるかもしれないから。
『よかったわぁ。やっと決心してくれたのね。お相手からも何度かうちに連絡が入ってね。とっても乗り気なの。素敵な方だから、何の心配もいらないわ』
お母さんの声がウキウキと弾む。
『それじゃ、きちんとした日程と場所をお相手と相談してから、また連絡するわね。なっちゃんは土日なら大丈夫でしょう?』
「うん……」
これでいい。
これが一番だ。
パンチパーマはこの際、置いておこう。
もしかしたら、お母さんの言うように、ものすごく内面が素敵な人かもしれない。