冷徹社長が溺愛キス!?
◇◇◇
三十分ほどで到着したのは、落ち着いた佇まいの日本料亭だった。
竹で組まれた戸をくぐると、敷き詰められた玉砂利を踏みしめ料亭のドアを引く。
中へ入ると、おかみさんらしき上品な女性が着物姿で出迎えてくれた。
案内されるままに足を進めていくと、右手に中庭が見えた。
それは、外からは到底予想もつかないほど広く、鮮やかな緑に映える、池に渡された小さな赤い橋が印象的だった。
「こちらでございます」
両膝を突いたおかみさんが引き戸を開ける。
中から人の気配がするところをみると、お相手は既に到着しているようだ。
お父さんに続いてお母さん、そして私も俯いたまま「失礼します」と中へ入る。
「お待たせして申し訳ありませんでした」
「いえ、こちらの主役がまだなんです。こちらこそ申し訳ありません」
お父さんが謝罪しながら座ると、お相手の父親が同じく謝る。
どうやら、“パンチさん”はまだのようだ。
入って向かいに相手方、手前に三つならんだ座布団の左端に座ると、私の前には空の座布団があった。
「まぁ可愛らしいお嬢さんですこと。写真で見るより、ずっと可愛いわ」