冷徹社長が溺愛キス!?
「ふたりとも知り合いだったの?」
お母さんが私たちを見比べる。
お見合い話を持ってきたくせに、そんなことも知らなかったとは、なんて無責任な母親なんだろう。
「……私の勤め先の社長」
「あらま! 本当に!? なっちゃんったら、どうして気づかなかったの? 写真とプロフィールを見たでしょう?」
ボソッと告げた私のひと言に、お母さんは手を口元に当てて目を見開いた。
驚きたいのは、私のほうだ。
「プロフィール? そんなものは入ってなかったよ。写真がポロッと一枚だけ。……それもパンチパーマの別人だった」
美優が取り違えたのか、お母さんが置き間違えたのか。
あのとき見たのは、決して社長の写真ではなかった。
穏やかな目をしたパンチさんだったのだ。
「パンチパーマ? あら、それじゃあっちを見せちゃったのかしら……」
お母さんが目を白黒させる。
「素敵な人って、何度も言ったでしょう?」
「それはそうだけど……」