冷徹社長が溺愛キス!?
お母さんの言う素敵が、容姿じゃなく中身だとばかり思っていたから、まさか別人の写真を見せられたとは考えようもないのだ。
「それより、プロフィールがあったのなら、お母さんこそ、どうして気づかなかったの?」
「社名を見てもピンとこなかったわ」
肩をすくめ、ペロッと舌を出す。
娘の勤める会社名も分からないとは……。
驚きを通り越して、心配になってしまう。
「ほら、ふたりとも止めなさい。こんな場で恥ずかしいぞ」
お父さんから小声で叱責が飛ぶ。
そこで改めて、これが社長と私のお見合いなのだと思い出した。
居住まいを正すと、社長は私の目の前でクククと肩を震わせていた。
この部屋に入って来たときの様子からすると、たぶん社長はお見合いの相手が私だと最初から知っていたのだろう。
それなら、どうして話してくれなかったんだろう。
社長が相手だと知っていれば、社長と専務の間柄を誤解することも、ひとりで悶々と悩むこともなかったのに。
つい恨めしい顔で社長を睨んでしまった。
ところが、そうしたところで彼に動じる気配はない。
それどころか、優しい目で見つめ返してくるものだから、険しくしたこっちの表情はすぐにも緩んでしまう。
キッと吊り上げたはずの目から、ふにゃふにゃと力が抜けた。
「行き違いがあったようですが、始めてもよろしいでしょうか?」
社長のお母様が穏やかに先を促す。
「大変失礼いたしました。では、よろしくお願いいたします」
お父さんとお母さんは、揃って頭を下げたのだった。