冷徹社長が溺愛キス!?
『なっちゃん? もう家なの?』
ゆっくりとした声が聞こえてきた。
私のテンポの遅さは母親譲りなのだ。
「うん、家だよ」
『ということは、彼氏はできていないってことね』
彼氏がいれば、午後七時過ぎに家にひとりでいないだろうという、変な読みによるものだ。
「もうやだなぁ。簡単に言わないでよ」
お母さんが私に彼氏ができたかどうかを確認するのには訳がある。
『お父さんがね、そろそろ諦めろって隣で言ってるんだけど』
ふたり仲良く並んで私に連絡をしてきたみたいだ。
お父さんがお母さんの携帯に耳を寄せ、私の声を聞いている画が想像できる。
「私、まだ二十七歳だよ」
『お母さんがなっちゃんの歳には、もう子育ての真っ只中だったのよ?』
「お母さんの時代と比べないで」
『やぁねぇ、女性の年齢に時代は関係ないわよー? 久美ちゃんなんて、もうふたり目がお腹にいるんだから』