冷徹社長が溺愛キス!?
どうしよう……。これ、私が拾ってもいいのかな……。
何かのドッキリ?
辺りを見回しても、誰かが潜んでいる様子はない。
迷ったものの、ここまで十三本拾ってきてしまった手前、引っ込みがつかなくなってしまった。
ひとつひとつ拾い上げ、左腕に抱えていく。
そして、私の部屋がある二階へ到着すると、なんとそれはさらに先へと続いていた。
しかも、どういうわけか私の部屋の前までだ。
呆気にとられながら、同様に拾っていく。
玄関までたどり着いたときには、四十本弱のバラを抱えるほどになっていた。
「麻里ちゃん、お待たせ。あのね、なんだかわからないんだけどバラが……」
ドアを開けたものの、人の気配がない。
忘れたものでもあって、どこかに買い出しにでも行ったんだろうか。
「麻里ちゃーん?」
声を掛けつつ、パンプスを脱いで中へと足を踏み入れる。
決して広くはない部屋。
いろんなところを探らなくても、彼女がいないことは明らかだった。
電気の消えていたリビングのスイッチを入れる。
すると、そこで目に飛び込んできたものに唖然としてしまった。