冷徹社長が溺愛キス!?
「え!? ここにも!?」
思わず声を上げる。
それは、抱えきれないほどの真っ赤なバラの大きな花束だったのだ。
テーブルの上に、存在をアピールするかのように置かれていた。
麻里ちゃんが……?
そう思ってみたものの、彼女が私に花束をくれる理由が見つからない。
私の誕生日でもなければ、何かの記念日でもない。
しかも、こんなに大量のバラだ。
少し怖いものでも見るかのように、ぐるっとテーブルの周りをひと回りしたところで、花束の間にカードらしきものが挿し込まれていることに気づいた。
そっと手を伸ばし、カードを開く。
“ちゃんと全部拾ってきたか? 全部で百八本の真っ赤なバラだ。花に詳しい奈知なら、この花束の意味が分かるだろう。分からなければ調べろ”
そう書かれたメッセージの下に記された名前に、心臓が飛び跳ねる。
“速水純”とあったのだ。
社長がこれを……?
どうして?
どうやって?
もしかして、麻里ちゃんに頼んで……?
トクトクトク……と心臓が早鐘を打ち始める。
彼女に連絡をしてみようとバッグからスマホを取り出すと、ちょうどLINEのメッセージを受信したところだった。