冷徹社長が溺愛キス!?
「……そうなん……ですか?」
そもそも、キスに相性なんてあること自体知らなかったし、経験だって多くはない。
そんな私にそう言われても、セフレならぬ、単なるキスフレだと思ってしまう。
社長は私からバラの花束を奪うと、それを車の後部座席に置いた。
そろそろ腕が限界だと思っていただけに、ホッとする。
「ただ、その気持ちを強く認識したのが、あの夜のキスだったのは間違いないな」
ドアを片手で閉めると、社長は車のボディに寄り掛かる格好で私に向かい合った。
両腕を胸の前で組んで、足を軽く交差させる。
「見合いの相手だと初めて知ったときは、マジかよと思ったけどな」
そのひと言にギクリとする。
「それって、私が花瓶の水を社長に掛けたときですよね……」
社長は「ああ」と頷き、鼻を鳴らして軽く笑った。
私の社員証と顔を何度も見比べて、顔をしかめたのはよく覚えてる。
やっぱり、げんなりとしていたのだ。
「何やってもすっとろいし、いろいろと勘違いはするし、正直言って勘弁してくれよと思った」