冷徹社長が溺愛キス!?

「社長は、どうしてあんなところにいたんですか?」


部活で何度も登ったといっても、私がいたところは山道からかなり外れていたのに。


「違う道の開拓だ」


さすが社長。
私だったら、いくら庭のようなところでも遭難するのが関の山。
今回みたいに花を追いかけているうちに迷子になるに違いない。


「荷物がなくなった途端、口まで軽くなったな」

「あ……すみません、荷物を持たせておいて……」


ふたり分のリュックを背負って、社長にはさっきより格段に負荷が掛かっているというのに。
自分が楽になったものだから、ついペラペラと……。

謝りながら社長の横顔を見ると、別に怒っている様子がなくてホッとする。
それどころか、どことなく微笑んでいるようにも見えて、意外な表情に少し戸惑った。


あ……あれって……。

社長の横顔の向こうに、小さくピンク色の花が見えたような気がして足を止める。
ゆっくり近づいてみると、それが予想していたとおりのベニバナイチヤクソウだと分かって気持ちが弾む。

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