冷徹社長が溺愛キス!?

見られるとしても六月に入ってからが多いらしく、咲いていたとしても遭遇率はとても低い。

ひとつの茎に数個から十数個の花を付けている。
その群生に出会えるなんて、本当に信じられない。

わぁ、可愛い。
あ、カメラカメラ。

撮影しようと思ったところで、リュックにしまったことを思い出した。
リュックは……社長だ。


「おい、何してんだよ」


立ち上がったところで、社長が声に怒りを滲ませて近づいて来た。


「勝手にいなくなるな。そんなに遭難したいのか?」

「すみません……珍しい花を見つけたものですから……」


足元をそっと指差す。
社長は「また花かよ」と大きな溜息を吐いた。


「お前の頭の中は、花以外にないのか」

「……すみません」


この前から私は、いったい何度社長に謝っただろう。

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