冷徹社長が溺愛キス!?

恥ずかしさに顔が熱くなる。

遭難しかけたというのに、社長相手に調子に乗って花のことを語るなんて、どれだけ空気の読めない女なんだろう。


「本当にすみません……。それから……社長室にガーベラを届けたことも、出過ぎた真似をしました。申し訳ありません」


頭を下げた弾みで、私のお腹がグゥと鳴る。

私はどこまで間抜けなんだろうか。
どうしてこのタイミングでお腹が鳴るのか。
ことごとく恥ずかしい。

背中を小さく丸めて頭を項垂れていると、社長からクククという笑い声が漏れ聞こえてきた。
そっと顔を上げると、想像もしていなかった笑顔の社長がそこにいた。

図らずも、ドキンと胸が高鳴る。

憎まれ口ばかり叩く社長から出た笑顔が怖いせいだ。
素敵な笑顔だったからという理由じゃない。
恐ろしい存在の社長からこぼれた笑顔に対する恐怖心。
そうだとしか思えない体の反応だった。


「飯でも食べるか」


社長はリュックをふたつ下ろすと、花を避けた地面に置いた。
そして、中をゴソゴソと漁り始める。

腕時計を見ると、十二時半を回っていた。
お腹も空くわけだ。

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