冷徹社長が溺愛キス!?
◇◇◇
大きなランチボックスの中身が減ったせいか、社長の足取りはさっきよりも軽い。
私もお腹が満たされて、元気をチャージできた。
この分だと、それほど遅くならないうちにみんなに合流できるかもしれない。
途中見かけた花に足を止めたい気持ちをぐっと堪え、社長の背中を追いかける。
そのうしろを歩いていて、ひとつ気づいたことがあった。
それは、社長が決して花を踏まないことだった。
私でも見落としてしまいそうな小さな野草でさえ、ひょいとよけて足をつく。
傲慢で効率重視の手厳しいことばかり言うけれど、ひょっとしたら優しいところもあるのかもしれない。
そんなことを考えながら歩いていると、鼻先にポツリと水が落ちてきた。
木の枝にたまっていた雫かと思った矢先、今度は頬に水が滴る。
雨粒だ。
見上げると、いつの間にか空は灰色の雲に覆われ、抱え込んだ水分を一気に放出しそうだった。
「雨だな。急ぐぞ」
社長が足を速めたときだった。
一斉に雨が降り始めたと思ったら、遠くの空に閃光が走る。
そして、数秒後に大きな雷鳴が響いた。
「キャッ!」