冷徹社長が溺愛キス!?

社長は、窓の外を眺めることにも飽きたのか、こちらへ振り返ると、リュックの中を漁り始めた。


「突っ立ってても仕方がないから座れ」

「……はい」


社長に促されて、何もない木のフロアに腰を下ろす。
社長がリュックから取り出したのは、簡易式のガスコンロと小さな鍋。それからミネラルウォーターだった。

そんなものまで持って来ていたのだ。

鍋に水を注ぎ、火にかける。
それが沸騰すると、リュックの中にもう一度手を入れる。
今度出てきたのは紙コップとスティックタイプの何かの粉末だった。


「飲むか?」


社長が紙コップをふたつ並べる。


「ココアしかないけど」

「ココアですか!?」


思わず腰を浮かせて聞き返した。
私が飲むものといえば、夏だろうとホットココアなのだ。
それを今ここで、社長の荷物から振舞われるとは思ってもいなかった。


「嫌いなら無理にとは言わないぞ」

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