冷徹社長が溺愛キス!?

「速水社長は、どうしてオンラインゲームの会社を立ち上げようと思ったんですか?」


ココアを飲むだけではどこか手持無沙汰で、なんとなく口から出た質問だった。

でも、なかなかいい話題だと、我ながら思う。
身動きの取れなくなった狭い空間で、今までほとんど接触のなかった自分の会社の社長を相手にするのだから。
食べ物や趣味の話より、ずっと高尚っぽい。


「随分と唐突な質問だな」


社長はしばらくじっと私を見据えたあと言った。


「会社案内もホームページもろくに見ていないわけだ」

「あっ……」


社長に鋭いツッコミを受けて思い出した。

入社試験の準備でピュアネットジャパンの下調べをして、確かそういった類のことは書いてあった。
でも、それがなんだったのか思い出せない私のノロマな記憶回路。
逃げ場のないこんな場所で、変な質問をしてしまった自分の軽率な口が恨めしい。


「……見たことは……あるんですけど……」


いい質問だと直感で思った私は、本当に馬鹿だ。

< 64 / 272 >

この作品をシェア

pagetop