アメトムチ。
ナントナクトゼンブスキ
私たちが「つき合って」3ヶ月。
ののさんのお宅へお邪魔してもいいかと私から聞いたのは、今日が初めてだった。
だから今夜は特別な「何か」をしようと思ったわけじゃない。
彼に何かをしてほしいという期待もしてない。
私としては、「誘う」だけでもう精一杯で、他に余裕ないっていうか・・・。
そこに特別な意味を持たせたつもりは全然ない。

ただ、彼と同じ空間にいられるだけでいい。
それだけで嬉しいから、いつもどおり、彼が仕事に没頭してる間、私は私のやりたいこと―――例えば読書だったり、テレビを観たり、家の片づけをしたり、等々―――をする。
いつもの過ごし方をするだけで、私は安心するから。

ののさんも私と似たような考えなのだろう。
「昨日の続き!もう少しでダンジョン攻略できそうなんだ!」と、車を運転しているときから少々興奮気味で話していた彼は、いつものごとく、晩ごはんもロクに食べないまま、サッサと仕事部屋へ籠った。

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