そろそろ、恋始めませんか?~優しい元カレと社内恋愛~
「紗和、ち、ちょっと来て!」
私は自分より背の高い、紗和の腕を更衣室まで引っ張っていった。


更衣室のドアを閉め、誰もいないのを確かめてから言う。

語気を荒げず、落ち着いてと自分に言い聞かせて。


「どういうこと?なんで、彼が、いるのよ?」
優人って声に出すのもためらう。


「亜湖…ちょっと待ってよ。
まず落ち着つこうよ。ねえ、聞いて。
彼、今日から管理部門の研修に入るらしいの…多分、えっと、とりあえず法務から。

後は、経理とか、いろいろね。
何しろ、事務系の幹部候補だから…
一通り重要な部署を回るみたい。所属は今まで通り、営業だけど…」


私は、考えを巡らせた。

営業なら、フロアは別だ。

どのくらいここにいるのかわからないけど、営業の人間なら、ずっとあっちにいるだろう。、今ここで鉢合わせしなければ、後は、フロアが違うから何とかなるか。


「席は、営業なのよね?」


「ええ、まあ……組織上は」
紗和が慌てて答える。


「紗和…私これから、ちょっと席外すから。うちの課長に言っておいて」


「なんて言うのよ」


「具合が悪いから、医務室行ってることにして。彼が居なくなったら、私はここにいるから…必ず呼びに来て!」
私は、紗和をにらみつけた。


「知ってたんだ、紗和。ひどいよ」


「私も…ついこの間知ったのよ」


「やっぱり、知ってて黙ってたんじゃないの」


「えっと、まあいいじゃないの。深く考えなくても」


「いいえ。違う。ついこの間、知ったんじゃないじゃないはず。ここで営業として配属されるのは、総務なら前から知ってたよね。紗和?なんで教えてくれなかったの?人事異動って何か月も前に発表あったじゃないの」

「えっと…どうかな。そうよ、一般社員だって、手に入れられない情報じゃなかったわよ、亜湖」

「とにかく…朝礼終わったら教えて」

「はい」




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