そろそろ、恋始めませんか?~優しい元カレと社内恋愛~


私は、現実に戻って、中を確かめるように引き出しの中をのぞいてみる。

異動で誰も来ないなら、この机は倉庫行きかな。

ここに机があると、電子化されてないファイルや、ちょっとした打ち合わせに使うのにちょうどいいのにな。

このままにしてもらうように頼もうかな。でも、机きれいにするってことは、どこか別の場所に持ってくんだろうな。


雑巾を固く絞って引き出しの中を拭きながら考えてた。


「思いのほかキレイになったな」

こういう無心になれる作業は、結構好きだ。もう、30分もやってる。
だから課長も、分かってて私に仕事を頼んでくる。



私が机を乾拭きしてたら、紗和が荷物を抱えてやって来た。


彼女は、私が雑巾を手にしているのを見て目を輝かせていう。

「ああ!ありがとう、亜湖。掃除しといてくれたんだ」

紗和が大袈裟に喜ぶ。紗和のために掃除したんじゃないけど。


彼女は、今、私が乾拭きしたばかりの机にドンと段ボール箱を置いた。

箱の中身は、最新型のノートパソコンだ。
そんなに乱暴に扱って、大丈夫だろうかと心配になる。


そして、私は、紗和が持ってきた箱を、羨望のまなざしで見る。

なんで羨望のまなざしで見てるかって言うと、パソコンが最新型のものだからだ。


正直、私が今、この箱の中身が、のどから手が出るほど欲しい。

先週も、休みの日に電気屋に行ってパンフレットをたくさんもらって、いろんな機種を見比べてるところだし。

いいな。それ。誰かくれないかな。


開封されてない箱に入れられ、丁寧に型番までぴったり、私のほしいものリスト一番のやつだ。

いいな。それ、亜湖のよって、紗和言ってくれないかな…


私が使ってる機種だって、何年か前は、最高レベルだったんだろうけど、
さすがに3世代前のものともなると、機械も人間同様、ご老体のように動きがわるくなり、無理すると固まって動かなくなる。

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