そろそろ、恋始めませんか?~優しい元カレと社内恋愛~
「亜湖さあ、えっと、今朝の人事の件、何か聞いてる?」
紗和が私に尋ねる。変な言い方。彼女にしては、歯切れが悪い。
「いいえ。課長からは何も聞いてないけど。ねえ紗和、あんただって私が、
人事異動なんかに興味がないって、わかってるでしょ?
人事の情報なんて、だいたい、いつも紗和からもらってるし。紗和が言ってなきゃ、私が知るわけないじゃないの」
総務課の紗和が、私に教えてくれる以外、会社の情報や噂話を私に教えてくれる人はいない。
社内の情報教えてもらうどころか、私には、他の女子社員と接する機会がないのだ。
人付き合いを避けて、ガリ勉してたから、社内で話しかけて来るのは、紗和しかいない。あんたもそのくらい知ってるでしょう。
そうと分かっても一応、聞かれたことは考えてみる。
「これから来るなら新人だろうな。でも、配属はまだ先だし」
本当に新人が来るなら、とっくに課長が騒いでるはずだ。
まったく何も知らされずに、当日の朝になってやって来るなんてあり得ない。
「ふ~ん。聞いてないんだ」
会社のロビーに入ったところで、私は、立ち止まった。やっぱり、変だ。
「何かあるの?紗和」
「ない」
怪しい…
絶対何かある…