健康診断の甘い罠

「仲良しアピール?歩ちゃんに千紗が俺にはもったいないっていっつも言われるんだよ」


そう言って眉を下げて笑う和弥くんにほのかちゃんを抱っこした旦那さんが頷く。


「それは俺もそう思う。だからしっかり捕まえとけよ」


旦那さんにまでそう言われて和弥くんは苦笑いをして私の手を引っ張る。


「はいはい。千紗、もう帰ろう。ここにいるとちょっと俺の立場が危うくなる」


そう言って私の手を引く和弥くんに引っ張られながら私は高倉さんと旦那さんに頭を下げる。


「じゃあ、すいません。お邪魔しました」


「じゃあね、高倉さん、歩ちゃん」


そう挨拶して高倉さんの家を出た私は和弥くんの車に乗る。


「時間早いから……ちょっと海の方にドライブしよっか」



「うん」


車を走らせる和弥くんが私の事を横目でチラッと見る。


「何?」


「いや、何でもない」


そう言って黙ってしまった和弥くんを珍しいなと思いつつ私も黙って外を見る。


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