健康診断の甘い罠

「タキシードって柄じゃないですよね、俺も。いや、でも笑ってもらった方がいいかも」


そう言って俺は苦笑いする。そんなの着るの絶対嫌だと思ったけど、千紗の絶対にかわいいウェディングドレス姿を見たいという欲求が勝ってしまったのだから仕方がない。


「絶対、白のタキシードは着ませんけどね」


そう言ったら高倉さんと平根が同時に吹き出す。


むっかつくな。高倉さんは許すとして、平根は許さん。


平根の首に手を回して首を絞めてやるとぐえっと情けない声を出して平根が俺の手を叩く。


「結城さん、ギブ」


「お前が笑うな」


そう言うと平根はまたぶふっと吹き出す。こいつ、本当に俺に遠慮がないな。


一応俺、先輩だしこいつの上司なんだけど。


「だって結城さんが白とか、似合わなすぎてウケますね」


笑いながらそう言われて本気でイラッとする。


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