健康診断の甘い罠

「自分でも分かってるわ。だから着ないって言ってんだろ」


俺と平根の様子を笑いながら見ていた高倉さんが優しい笑みを浮かべて俺の背中を軽く叩く。


「おめでとう、結城。お前が結婚するとか、かなり感慨深いけど。よかったな、しかもあんないい子と」


そう言われてちょっとジーンときて、俺は平根を離して高倉さんに抱きつく。


「高倉さん、本当にありがとうございます。これも俺を育ててくれた高倉さんのおかげです」


ぎゅうっと抱きつくとうっとおしそうに俺の身体を押し退ける。


「お前、そういうところだよ。平根より暑苦しいな。なんだよ、育てたって。本当にお前にはもったいないくらいのいい子なんだから、大切にしろよ」


結婚するって言ったときに、いやその前からだけど……歩ちゃんにもそう言われたけどまだ信用ないのかよ、俺。


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