健康診断の甘い罠
「俺、結婚願望なかったんだけど……あの二人見てたらなんか、ね」
そう言って私をチラッと見て結城さんが微笑む。
「だから俺も本気で恋してみようかと思って」
な、何だろう。こないだ俺と付き合ってみないって言われたけど……本気の恋って、なんか。
ちょっと私としたいって意味に聞こえるんだけど。それは、ない……よね。
「千紗ちゃんて、本気で男を好きになったことある?」
そう言われて私は首を横に振った。ずっと男の人に嫌な思いさせられてきたから、苦手なままで好きになったことなんてない。
「俺も。千紗ちゃんとはちょっと違うけどね。俺、女っていう生き物を信用してなかったから」
そう言われて驚いて結城さんを見ると結城さんは真面目な顔で長い足を組み直す。
「千紗ちゃんも俺と一緒で根が深そうだからね」
そう言って結城さんが私の耳に唇を寄せる。