健康診断の甘い罠

「あ、千紗。そこの店見ていい?」


「うん」


そう言われて頷いた私の手を引いて和弥くんがお店に入る。


「千紗、どんな服が好き?」


手を繋いだまま適当な手つきで服を見る和弥くんがそう聞いてくる。


別に特別好きな服装とかないけど。あんまり派手なのとかは好きじゃないかも。


「どっちかというのシンプルな方が好き、かな」


私服二回見てるけど、和弥くんもそういうのが好きっぽいけど。


「俺、あんまりこだわりはないんだよね。千紗、選んでよ」


どおりで、全然興味なさそうに見てると思った。


だけど今、着てる服とかどうやって選んでたんだろう。


「今まではどうしてたの?」


そう聞くと和弥くんは横目でチラッと私を見てふっと笑う。


「店に入ると店員さんが勝手に選んでくれたから。逆ナンっていうオプション付きで」


そう言う和弥くんを口を開けて見てしまう私に和弥くんは顔を近付けてくる。


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