健康診断の甘い罠

「ち、近い」


急にその香りが分かるくらい近付いた距離に心拍数が跳ね上がる。クレームをつけた私にニヤッと笑った和弥くんが顔を覗きこんでくる。おでこ、くっつきそうだし。


「だって千紗よそ見してるからさ。でも震えてないから、大丈夫でしょ」


確かに、いつもみたいに鳥肌もたたないけど、恥ずかしい。


肩を抱かれて顔を至近距離から覗きこまれてドギマギする私を見て和弥くんは目を細める。


い、意地悪な顔してる。楽しそうな笑みを浮かべてる和弥くんをちょっと睨むとなぜかますます笑みが深くなった。


「すごいかわいい、チューしたい」


「な!?」


思わず和弥くんの顔を手で押し返すと和弥くんが笑いながら私を離してまた手を繋ぐ。


「服、選ぶ」


そう言って服を見始めた私の隣で和弥くんがクスクスと笑ってる。


なんか悔しいけど、全然勝てる気がしない。


どうにかしてやりたいって思うけどそんなことしたらとんでもない目に合いそうだ。


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