じれったい
「玉置くんの呼び方なんだけれど、“常務”または“玉置常務”とそう呼べばいいから」

「はい、わかりました」

「えーっと…」

武沢さんは腕時計に視線を向けると、
「11時にプロダクションへ行く用事が入っているから、今すぐ玉置くんと一緒にプロダクションへ行きなさい」
と、言った。

「はい、わかりました。

じゃあ、行ってきます」

私は椅子から腰をあげた。

「戻ってきたら仕事の詳しいことを説明するから」

「はい」

私はカバンを手に持つと、秘書課を後にして隣の常務室へと向かった。

コンコンとドアをたたくと、
「どうぞ」

中から玉置さん――いや、玉置常務の声が聞こえた。

「矢萩です、入ります」

ガチャッと常務室のドアを開けた。
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