恋色シンフォニー 〜第2楽章〜

***



引越し屋さんによる搬入が終わると、圭太郎の友人である真木さんと、その彼女の望月さんが手伝いに来てくれた。

真木響也。圭太郎と同じオケでチェロを弾いてる。かなり上手い。ちなみに顔も かなりキレイ。第一印象、オレ様。

望月雅さん。私達より数コ年下。圭太郎と同じオケでヴァイオリンを弾いてる。圭太郎の妹弟子。印象は、真面目で大人しくて ほわっとした感じの、いいコ。



お二人にはまず、私の部屋で本やCDの荷解きをしてもらうことになった。

私が同じ部屋で服をしまってると。

「ちょっと響也さん、読んでないで片付けてください!」

望月さんの尖った声が聞こえたので、見ると、真木さんが私の愛読書の漫画をパラパラめくっている。

「あいつの彼女の趣味は気になるだろ。ふーん、こういうの読むんだ」

「あ、その漫画、あたしも持ってます! 主人公の彼氏がヴァイオリン弾くんですよね〜。感動するんですよ〜」

あら。うれしい。
望月さんとはお友達になれそう。

「はー? 何これ。浜辺でヴァイオリン弾いたら、直射日光と潮風で楽器傷むじゃんか」

うわ。こいつ、粗探しするタイプか。
そこ、感動的な場面だから、余計にいらっとする。

「漫画だからいいんです! もー、いいから片付けてくださいってば!」

へぇ。望月さん、なかなか強いんだ。

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